proxmox windows virtualization

ProxmoxでWindowsを動かすメリットと注意点

Windows10と11をProxmoxで動かす時の利点と障壁をまとめます。スナップショットの強さ、バックアップの柔軟性、環境汚染の低減などは大きな利点になります。一方でGPU周りやUSB機器の扱いは生Windowsより扱いづらくなります。日常作業としてのUXは低下しますが、実験用や安全な作業環境としては強力になります。

Shou Arisaka
1 分で読める
2025年11月26日

ProxmoxはDebianベースのオープンソース仮想化プラットフォームで、KVMとLXCを使ったVM管理が可能です。Windows 10/11をProxmox上で動かす場合のメリットと注意点をまとめます。

メリット

スナップショットの強さ

Proxmoxのスナップショット機能は非常に強力です。Windowsの状態をいつでも保存でき、問題が起きたら瞬時に復元できます。

  • ソフトウェアのインストール前にスナップショットを取る
  • アップデート前に保険をかける
  • マルウェア感染時にクリーンな状態に戻す
  • レジストリをいじる前に保存しておく

Windows標準の復元ポイントよりも確実で、OS全体を丸ごと戻せるのが強みです。復元ポイントはシステムファイルしか戻せないことが多いですが、Proxmoxのスナップショットはディスク全体を戻せます。

スナップショットの取得はWebUIから数クリックでできます。「Datacenter」→「VM」→「Snapshots」→「Take Snapshot」で完了です。復元も同じ画面から「Rollback」を選ぶだけです。

バックアップの柔軟性

ProxmoxはVMを丸ごとバックアップできます。ディスクイメージごと保存するため、別のマシンへの移行も容易です。

バックアップの形式は以下から選べます。

  • LZO … 高速だがファイルサイズ大きめ
  • GZIP … 標準的な圧縮率
  • ZSTD … 高圧縮で高速。最近のProxmoxではおすすめ

定期バックアップのスケジューリングもWebUIから簡単に設定でき、NASやリモートストレージへの保存も可能です。「Datacenter」→「Backup」から設定できます。毎日深夜に自動バックアップ、といった運用ができます。

バックアップ先としてNFS、SMB/CIFS、Proxmox Backup Serverなどが使えます。自宅のNASにバックアップしておけば、Proxmoxホストが壊れても復旧できます。

環境汚染の低減

テスト用のソフトウェアや怪しいプログラムを試す際に、メイン環境を汚さずに済みます。VMを使い捨て感覚で運用でき、必要なくなったら削除するだけです。

複数のWindows環境を用途別に分けることもでき、開発用・テスト用・日常用などの使い分けが可能です。

よくある使い方としては以下のようなパターンがあります。

  • クリーンインストール直後の状態をテンプレートとして保存しておき、必要な時にクローンする
  • 怪しいソフトを試す専用VMを作っておく
  • 古いWindowsバージョン(Windows 7など)を残しておいて互換性テストに使う

リソースの有効活用

1台の物理マシンで複数のWindows VMを動かせます。16コア32スレッドのCPUと64GBメモリがあれば、Windows VMを3〜4台同時に動かすことも可能です。

VMごとにCPUコア数やメモリを割り当てられるので、用途に応じて調整できます。普段使いのVMには8コア16GB、テスト用には2コア4GB、といった具合です。

注意点・障壁

GPU周りの扱い

GPUパススルーは設定が複雑で、すべてのハードウェアで動作するわけではありません。

  • IOMMUグループの確認が必要。マザーボードによってはGPUが他のデバイスと同じグループに入っていて分離できない
  • 一部のGPUはリセットバグがある(VMを再起動するとGPUが正常に初期化されず、ホストの再起動が必要になる問題)。AMDの古いGPUで多い
  • ドライバのCode 43問題(特にNVIDIA。仮想環境を検出するとドライバが動作を拒否する)

Code 43問題の回避には、VM設定で以下のような設定が必要です。

args: -cpu 'host,+kvm_pv_unhalt,+kvm_pv_eoi,hv_vendor_id=NV43FIX,kvm=off'

また、VM設定ファイル(/etc/pve/qemu-server/VMID.conf)に以下を追加することもあります。

cpu: host,hidden=1,flags=+pcid

ゲームや3Dレンダリングなどのグラフィック性能が必要な用途では、生Windowsに比べてハードルが高くなります。GPUパススルーがうまくいけば性能は出ますが、設定の難易度が高いです。

GPUパススルーなしでも、QXLやvirtio-gpuを使えば基本的なデスクトップ操作は可能です。ただ、3D性能は期待できません。

USB機器の扱い

USB機器のパススルーは可能ですが、以下の点で生Windowsより扱いづらくなります。

  • ホットプラグ時にVM側で認識されないことがある
  • USBコントローラごとパススルーする必要がある場合もある
  • 一部のセキュリティキーやドングルが動作しないことがある

USB機器をパススルーするには、WebUIから「Hardware」→「Add」→「USB Device」で追加できます。デバイスIDで指定する方法と、ポートで指定する方法があります。

頻繁に抜き差しするUSBメモリなどは、ポート指定にしておくと便利です。特定のUSBポートに挿したデバイスが自動でVMにパススルーされます。

日常作業のUX

仮想化によるオーバーヘッドは避けられません。

  • 起動にProxmoxホストの起動時間が加わる。トータルで1〜2分余計にかかる
  • VNCやSPICE経由のアクセスは生Windowsほど滑らかではない
  • サウンドの遅延やビデオ再生のカクつきが発生することがある

SPICEを使うとVNCよりは快適になります。virt-viewerをクライアントにインストールして使います。

# Ubuntuの場合
sudo apt install virt-viewer

ProxmoxのWebUIからSPICE接続用のファイルをダウンロードして開けば接続できます。

より快適にしたい場合は、GPUパススルー + Looking Glassという構成もあります。Looking GlassはGPUの出力をホスト側で表示するソフトウェアで、遅延がほぼゼロになります。ただ設定は複雑です。

VirtIOドライバのインストール

Windows VMを快適に動かすには、VirtIOドライバが必要です。これを入れないとディスクI/Oやネットワークが遅くなります。

VirtIOドライバのISOはProxmoxのリポジトリからダウンロードできます。

wget https://fedorapeople.org/groups/virt/virtio-win/direct-downloads/stable-virtio/virtio-win.iso

Windowsインストール時にこのISOをマウントしておき、ディスクドライバとして読み込ませます。インストール後はDevice ManagerからVirtIO関連のドライバを追加でインストールします。

QEMU Guest Agentも入れておくと、ホストからVMの状態を正しく取得できるようになります。

用途による使い分け

ProxmoxでのWindows運用が向いているケース

  • 開発・テスト環境として使う
  • セキュリティを重視した隔離環境が欲しい
  • 複数のWindows環境を効率的に管理したい
  • バックアップ・復元を頻繁に行いたい
  • 1台の物理マシンで複数のOSを動かしたい

向いていないケース

  • ゲームなどGPU性能を最大限使いたい(GPUパススルーの設定に自信がない場合)
  • 日常作業のメインマシンとして使いたい
  • USBデバイスを頻繁に抜き差しする
  • 設定に時間をかけたくない

Windows VMの推奨スペック

参考までに、Windows 10/11 VMの推奨スペックを書いておきます。

軽い作業(ブラウジング、Office程度)

  • CPU 2コア
  • メモリ 4GB
  • ディスク 64GB

普通の作業(開発、複数アプリ同時起動)

  • CPU 4コア
  • メモリ 8GB
  • ディスク 128GB

重い作業(動画編集、重いアプリ)

  • CPU 8コア以上
  • メモリ 16GB以上
  • ディスク 256GB以上(SSD必須)

まとめ

ProxmoxでWindowsを動かすことは、実験用や安全な作業環境としては非常に強力な選択肢です。スナップショットやバックアップの恩恵は大きく、環境を汚さずに様々な検証ができます。

一方で、日常作業のメインマシンとしては、GPU周りやUSB機器の扱い、全体的なUXの面でデメリットがあります。用途に応じて使い分けるのがベストでしょう。

個人的には、メインの作業は生Windowsで行い、テストや検証はProxmox上のVMで行う、という使い分けがバランス良いと思います。

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Shou Arisaka 2025年11月26日

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